Artificial World Implementation Laboratory (AWIL)
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リアルの身体を動かさず、バーチャル身体を自由に操作できるVRシステムの実現を目指しています。
現行のVRシステムでは、モーションキャプチャを用いてリアル身体の運動そのものをバーチャル身体の動きとする方式が採用されています。しかしこの場合、移動可能なバーチャル空間の範囲がリアル空間の広さに依存することになり、またバーチャル身体で表現可能な動きはリアル身体で実行可能なものに限定されてしまいます。そこで、リアル身体の運動を抑制した状態において、運動の意図のみを正確に取得し、さらに運動している感覚を可能な限り与えることによって、リアル身体の運動を伴わないバーチャルリアリティ(Motion-Less VR)の実現を目指しています。
https://youtu.be/aLjNE-8F9I4?feature=shared
Motion-Less VR では、身体を動かさなくても「動いている」と感じられる体性感覚が没入感の鍵になります。当研究室は、その強さと持続性を高め、関節可動域のほぼ全体にわたって自然な運動錯覚が得られるよう、効果向上に取り組んでいます。最終的には、視覚に頼らず全身の動作をリアルに実感できる環境を目指します。
バーチャル身体を実身体と同じ感覚で操作するには、ユーザが「動こう」と思った瞬間の意図を確実につかみ、即座に反映することが不可欠です。当研究室では、その精度と操作感をさらに高め、滑らかで違和感のない操作体験を実現することを目標に研究を進めています。
視覚・前庭・体性感覚の組み合わせが従来のVRとは異なるMotion-Less VRでは、どの程度VR酔いが生じるのか現時点では明確になっていません。当研究室では、まず主観評価により酔いの発生頻度と強度を定量化し、その結果を踏まえて映像の表示方法や外部刺激の提示条件を最適化することで酔いの抑制を図っています。最終的には、長時間でも快適に利用できる環境の実現を目指します。
バーチャル環境では、アバターの外見や周囲の景観が利用者の行動や心理に影響を及ぼすとされています。当研究室は、この「プロテウス効果」に着目し、多様なアバターと環境条件を組み合わせた実験を通じて、行動変容の傾向と要因を解析しています。得られた知見をもとに、教育やリハビリテーションなどで活用できるアバター・環境デザインの指針確立を目指しています。